Column
三連休の最終日に、東京で開催された「相続川柳イベント」に参加してきました。
相続にまつわる川柳を今年の6月から8月の3か月間募集しもその応募作2,000作超のなかから優秀なものの表彰が行われたのです。
表彰された作品以外にも応募作の一部が冊子になって出席者に配布されましたが、内容を一読すると、おおきく二つの話題が圧倒的に多いことに否応なく気づかされました。
その一つは、相続があると家族間に亀裂が生じやすく、もめごとになりがちだという話題。
そしてもう一つは、相続等のことについて早い時期から話し合っておくべきであるのだけれど、なかなかそういう機会がないままに、タイミングを失ってしまうことが多いという話題です。
前者についていうと、核家族化、個人の権利意識の高まり等、言い古されたことではありますが、以前に比べ相続の話し合いがまとまりにくい状況がより強くなっている、ということは事実なんだろうと思います。
これもよく言われることですが、「遺産が少ないからもめない。」とか、「残された家族が少ないからもめない。」ということではないのではないかと考えられます。
事実、そのような状況でもめてしまった例は多数あります、
後者についてですが、人生における老については、避けて通れない問題であって、その先にあることを含め、考えていかなければならないことは、重々理解していても、その問題に向き合うことについては、本人からするとまだ大丈夫という気持ちがあり、周りも本人の気持ちを考えると切り出しにくい、ということであろうかと思います。
そこへ降ってわいたように病を得たり、あるいは認知症の発症が出てくるというようなことが起こると、もはや話すこともままならない、というようなことになりがちであると考えられます。
特に、認知症を患うと、現状では財産の処分等の行為を行うことは極めて困難であって、何らかの策を講ずることが好ましい場合であっても、その策を講ずることができなくなってしまうことが往々にしてあります。
これらいずれの場合に合っても、本人の生前においては本人が健康で十分な判断力がある間に、また、本人の死後は親族間のもめごとに発展してしまう前に専門家を介在させて、その助言・サポートを得ながら、関係者で話し合うことが非常に重要であると再認識した次第です。
席上、この会を主催された方からは、家族信託をうまく活用することで、問題の発生を回避できる場合があることについての話題が出されました。
家族信託は、本人の老後の生活の安定や、残された遺族の生活のサポート、ひいては相続を円滑ならしめる制度として、今期待されている制度です。
期待の背景には、老後の生活のサポートとして期待されてきた成年後見制度の普及が十分ではないことがあろうかと思います。
そのことは、成年後見制度が老人の介護にかならずしも十分な効果を出し切れていない実態もかかわっているかと思います。
制度そのものには、それぞれ長所と短所があるので、ケースバイケースでより適切な制度を活用することが重要であると思います。
それにしても、実効を持たせるには、関係者の相互理解であろうかと思います。
そのことをサポートする専門家のかかわりが重要と感じた次第です。
いろいろ考えさせていただける いいイベントでした。
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