Column
昨年の11月19日に食品衛生法の大改正がありそうだ、ということのこのブログでご紹介しました。
早くもその骨子案が、厚生労働省より提示され、1月19日から2月7日の間で意見の募集が行われています。
その概要は以下の通りです。
1. 改正の趣旨
① 前回改正から15年経過し、この間に共働き世帯や高齢者・単身世帯の増加を背景に、調理食品、外食・中食への需要の増加や健康食品への関心の高まりなど食へのニーズが変化し、輸入食品の増加など食のグローバル化の進展といった我が国の食や食品を取り巻く環境が変化している。
② 都道府県等を越える広域的な食中毒事案の発生や拡大の防止、下げ止まり傾向である食中毒発生数を抑制する必要があること等を踏まえると、食品等を提供する事業者におけるより一層の衛生管理や、行政による的確な対応が喫緊の課題となっている。
③ 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催や我が国の食品の輸出促進を見据え、国際標準と整合的な食品衛生管理が求められる。
2. 広域的な食中毒事案への対策強化
国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のために、相互に連携や協力を行うことを明記するとともに、連携や協力の体制整備のため、厚生労働大臣が、国や都道府県等の関係者で構成する広域連携協議会を設置することができることとする。
3. HACCP(ハサップ)による衛生管理の制度化
現行の総合衛生管理製造過程承認制度(食品衛生法第13条)に代えて、食品等事業者、と畜業者等や食鳥処理業者に、HACCP(ハサップ)による衛生管理の制度を導入し、食品衛生管理の国際標準化を図る。
ただし、食品等事業者の内、常温で保存可能な包装済み食品のみを販売する営業など、公衆衛生に与える影響が低いと考えられる業種については、対象から除くこととする。
4. 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
食品用器具・容器包装の安全性の確保や規制の国際的整合性の確保のため、人の健康を損なうおそれがない場合を除き、合成樹脂等を対象として、規格が定められていない原材料を使用した器具・容器包装 を販売等してはならないこととする。
5. 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
現行の飲食店の営業、食品の都道府県ごとに異なる営業許可基準について、厚生労働省令で定める基準を参酌し、条例で定めることとするとともに許可業種について営業実態を踏まえ、見直しを行う。
公衆衛生に与える影響が少ない営業を除き、営業を営もうとする者は、あらかじめ都道府県等に届け出なければならないこととする。
ここはちょっとわかりにくいのですが、許可が不要の業種についても、一部を除いて届け出が必要になる、という趣旨のようです。
6. 食品リコール情報の報告制度の創設
営業者が製造等をした食品等が、食品衛生法に違反をした場合等で、当該食品等を回収するときは、食品衛生上の危害が想定されない場合を除き、回収に着手した旨及び回収の状況を都道府県知事等に報告し、当該報告を受けた都道府県知事等は厚生労働大臣等に報告しなければならないこととする。
7. 輸入食品の安全性確保・食品輸出関係事務の法定化
輸出国においてHACCPによる衛生管理が講じられていることが必要な食品については、当該措置が講じられていることを輸出国の政府機関が確認した施設等において製造等されたものでなければ、輸入してはならないこととする。(食肉・食鶏肉などを想定しているそうです。)
衛生管理によっては食品衛生上のリスクが高まるおそれがある食品の輸入に当たっては、食品衛生上の管理状況等について、輸出国政府による衛生証明書の添付を要件とする。(乳、乳製品や生食用カキやフグを想定しているそうです。)
都道府県知事等は、輸出される食品の安全性に関する証明書の発行その他必要な措置を行うことができることとする。
以上が概要ですが、7.の項、輸出国がHACCPを導入していない場合は、どうするのか疑問が残りますね。