Column
今年になって初めての官庁のHp.の散策をやりました。
最初に目についたのが、法務省の法制審議会の信託法部会で審議された、公益信託法の見直しに関する中間試案が公表(平成29年12月12日公表)されていることです。
この分野に詳しくないので、間違っていたらご指摘をいただきたいのですが、私なりに理解した趣旨と概要は、以下の通りです。
平成18年に大正年間に制定された旧信託法を改正した新信託法が成立したが、その内容は私益信託制度の改正が主であって、公益信託については、公益信託法として成立した。
その内容は、旧法から実質的な改正は行われず、後に行われる公益法人制度の改革の趣旨を踏まえ、将来的に見直すこととなっていた。
平成25年度に、公益法人制度改革に伴う公益法人の旧法制度から新法制度への移行が終わったことに伴って、公益信託制度の見直し検討に着手し、今般その中間試案が取りまとめられた。
見直しのポイントは以下の3点であるそうです。
① 公益信託の信託事務及び信託財産の拡大。
現行制度が、不特定多数の学生に対する奨学金の支給や研究者等に対する研究費の助成を行うものに事実上限定されているところ、これを見直し,公益信託の信託財産として,金銭以外の財産,例えば不動産や有価証券も許容し,公益信託の受託者が,奨学金の支給や研究費の助成等に加え,美術館や学生寮の運営等の公益信託事務を行うことを許容することが提案されている
② 公益信託の受託者の拡大。
これまでの公益信託の受託者はほぼ信託銀行に限られてきたが,上記のように公益信託の信託事務や信託財産を拡大する場合には,それを遂行する能力を有する多様な受託者を確保するため,受託者の担い手を信託銀行以外の法人や企業にも拡大する必要があることについては部会で異論がない。他方で,公益信託事務が適正かつ安定的に実施されることも重要であり,公益信 託事務の担い手としての受託者の範囲をどのように画するべきか,法人に加えて自然人を受託者とすることを認めるかが論点となっている
③ 主務官庁による許可・監督制の廃止。
主務官庁制を廃止することには部会で異論がなく,新たな公益信託の成立の認可・監督は,民間の有識者から構成される委員会の意見に基づいて,特定の行政庁が行うものとすることが提案されている。それに伴い,新たな公益信託においては信託管理人を必置とし,信託内部の自律的ガバナンスを行政庁が補完する仕組みとすることが想定されている
以上が、中間試案のエッセンスです。
平成30年1月9日から2月19日までパブリックコメントが募集されています。
この分野にご興味のある方はぜひサイトをご覧になって、直接内容をご確認ください。