Column
さて、⑧のコミュニケーションの続きです。
一口にコミュニケーションといってもこれがなかなかむつかしいのです。
私のお客様が私に話してくださったことを二つご紹介します。
まず一つ目、相続案件でした。亡くなったのはお母様、お父様は先立っておられ、相続人は仲の良い姉妹二人。
相続の骨格はお二人の話し合いで間もなく決まり、従って遺産分割協議書も問題はなく、後は、お母様名義で契約している借家の契約関係の手続き等事務的な手続きでした。
一通り終了した時のことです。私に相談に来られていたお姉さまが、おっしゃったのは、「母が本当はどうしてほしかったのかは、私たちにはわからないんです。これで本当によかったのか…。」ということでした。
相続が一段落してほっとしたこともあったのだと思いますが、涙ぐんでおられました。
お母様に、機会があったら、万一の時の葬儀のことや、お墓のこと、遺産分割のことについて聞きたいと思っていたけれど、子供の方からは切り出しにくかったそうです。
そうこうしているうちに、気が付いいたらお母様は認知症になられてしまい、そのような話もできなくなってしまわれたそうです。
たしかに子供の方からは持ち出しにくい話題ですね。
こんなこともありました。
男性が遺言の相談に来られました。
遺言ですので、遺産分割が相談の中心になります。
ですが、スムーズに相続ができて、その後も家族が気まずくなることなく、仲良くしていくためには、コミュニケーションが大切なので、お父さんから子供たちに話しかけてください、という意味のことを申し上げました。
その時「今さら私に何を話しかけろと言うのかね。」という言葉が返ってきました。
お子さんの思春期に、親子のコミュニケーションがぎくしゃくしてうまく取れなくなるということはありがちなことですね。
このコラムを読んでいただいてる方の中にも、心当たりがある方がいるのではないかと思います。
お子さんが大学に入って親元を離れたりすると、親子が会うのはお盆と正月くらいで話らしい話をする機会もなくなり、子供が就職すると益々会う機会が少なくなって、、、。
親子がぶつかる機会もなくなるけれど、きちんと対峙することなく、いつしか思春期の親子関係が持ち上がって、話らしい話をすることがないことが、親子関係として固定化されてしまう、ということがあるのではないかと思います。
関係は持ち上がっていても、子供は確実に成長しています。親も、心を開くことで新たなコミュニケーションが始まると思います。
そこで、家族のことを思っている、というオーラを発してください。それが家族の安定につながります。
まずは勇気をもって一歩を踏み出してください。
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ①
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ➁ 親の通帳を預かる時
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ③ 相続人が残された奥様とご主人の兄弟の場合
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ④ 子供がいない時は奥様のことを考えて遺言を残すことをお勧めします
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ➄ 独身者こそ遺言を書きましょう
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ⑥ 書いた遺言を効果的にするために
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ⑦ 親子の場合
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための秘訣 ⑧ 親子のコミュニケーション
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための秘訣 ⑨ 内縁関係の場合 遺言をかならず残しましょう
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