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前回、相続でもめないために大切なことは親子のコミュニケーションである。ということを申し上げました。今回はその具体的な内容に入る予定にしていましたが、その前に、遺言を残しておくことの必要度が高い事例について、もう一点触れておきたいと思います。
それは、奥様との関係が内縁関係にある場合です。
何らかの事情で、実質的には婚姻関係にありながら、戸籍上は夫婦になっていない、というケースは珍しくはありません。
最近は男女の関係も多様化しており、それぞれ経済的に独立した男女が、パートナーの死後は関係を解消することを前提に、関係を保っている場合等、一概には言えない事例もあるとは思いますが、ここで押さえておきたいのは、事実上の婚姻関係にありながら、何らかの事情で籍を入れていない、そして、奥様がご主人の収入によって生計を営んでいる、という従来のパターンです。
今でも、内縁関係の多くはこのパターンなのではないでしょうか。
民法上、内縁関係の場合、相続権は認められてはいません。
従って、ご主人の死後、奥様の生計を安定させるためには、遺言の作成がぜひとも必要になります。
特に生活の基礎となる住居、居住権についてはよくよく考えて遺言に残されることが重要であると思います。
遺言を残した方がいいと、過去二回にわたって書いた事例、すなわち、奥様とご主人様の兄弟が遺産分割協議をする事例や、独身者の事例に比べてはるかに切実なケースになります。
以下もご参照ください。
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ①
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ➁ 親の通帳を預かる時
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ③ 相続人が残された奥様とご主人の兄弟の場合
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ④ 子供がいない時は奥様のことを考えて遺言を残すことをお勧めします
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ➄ 独身者こそ遺言を書きましょう
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ⑥ 書いた遺言を効果的にするために
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ⑦ 親子の場合
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための秘訣 ⑧ 親子のコミュニケーション