Column
前回は、
奥様とご主人のご兄弟が
相続人となった場合について、
書きました。
奥様とご主人のご兄弟による遺産分割協議…。
なかなかむつかしそうですね。
ご主人から見れば親しい兄弟ではあっても、
奥様からするとちょっと話しづらい、
ということはありそうなことです。
お子様がいらっしゃらないご夫婦の場合、
何も残っていないと、
馴染の薄いご主人のご兄弟と
遺産分割協をしなくてはならなくなるので、
予め遺言によって、
いらぬ手間を省くということも
よろしいかと思います。
奥様の後々の生活が困らないように、
よくお考えになって、
ご主人が遺言を残されるのがいいと思います。
遺言の形式や作法…
いや手続きについては、別途書くとして、、、
この場合の内容に関して考慮すべき事項です。
まずは奥様の、
ご主人様死後の生活をどうするのか。
奥様が不安なく安心して余生を送れること。
これが何をおいても重要ですね。
財産をどう分けるかだけを考えるのなら、
「私は、妻〇〇に、私の全財産を相続する。」
これでもいいのかもしれません。
何しろ、
ご主人のご兄弟には遺留分はないのですから。
遺留分についても、
機会があったら書こうと思いますが、
遺言であろうとも
遺産分割協議であろうとも、
どんな場であっても、
主張できる最低限度の相続割合のことです。
それが兄弟には認められていないので、
奥様に全財産を相続させることで
構わないのです。
但し、
前回書いたように、
先祖代々の土地建物をどうするのか、
というような課題もあったりします。
様々なことを検討して、
関係者の納得性が高い遺言を残すべきです。
従って、
奥様の生活を第一に考えた上で、
他の事情も考慮の上、
作成することが必要な場合もあるわけです。
奥様が、暮らしていかれる上で、
気まずい思いをすることなく、
親戚付き合いができることもまた、
重要なことではあります。
そのためには、
付言等も活用されるのも
よろしいかと思います。
付言というのは、
遺言の中に、
財産の分割や祭祀などの事柄以外に、
残される相続人に対して発する
メッセージのことです。
残された、
奥様のことを頼む、
と一言書くのもいいでしょう。
配偶者居住権を設定の上、
先祖代々の土地建物は、
兄弟の内××に相続するが、
妻が生存中は気兼ねなく暮らせるように、
というようなメッセージも
よろしいかと思います。
それから、お墓や仏壇の管理もあります。
これらのことは、付言というよりは、
遺言の本来の条項として
記載されるべきと思いますが、
書かれておかれるとよろしいかと存じます。
後は、
ご自分のお葬式のことも
必要に応じて書いておかれると、
奥様には幸便かと思います。
私が経験したケースで、
ご主人の家系は熱心なクリスチャンで、
奥様は普通に葬式仏教、
という事例がありました。
ご主人は、受洗されていなくて、
末期に及んで
ご本人の意思がはっきりしなくなった段階で、
ご主人の側の親族から、
受洗を強く勧められたり、
キリスト教式の葬儀を勧められたり、
奥様は相当悩まれたようでした。
このようなことがないように、
葬式の方法も希望がある場合は、
明記されるのがよろしいかと思います。
今流行りの散骨のようなものも
ご希望されるなら
書いておかれるのがよろしいかと存じます。
遺言は基本、お一人が書かれるものです。
が、
このようなケースの場合、
奥様ともご相談されて、
お書きになるのもよろしいかと思います。
最近、
私が取り扱った事例に
そのようなケースがありました。
奥様の納得性が格段に高くなり、
そのケースの場合はよかったと感じた次第です。
書きもご一読ください。
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ①
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ➁ 親の通帳を預かる時
相続で大切な家族をばらばらにしないために もめないための知恵 ③ 相続人が残された奥様とご主人の兄弟の場合