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Column

松戸通信第8号に掲載の記事です 青梅についてしらべました
2020年06月30日 メモランダム  松戸通信 

1.青梅 

 先日、道を歩いていると、道に梅の実が落ちていました。見上げると、塀越しに梅の木があり、実がなっていました。青梅です。

 梅雨時に、雨に打たれているのを見ると、涼しげに感じますし、雨後、葉や実に雨粒が滴っているのも、風情があります。

 この時期、陽射しはいよいよ強く、そのような時でもみずみずしさを失わないのも魅力です。

 今回は青梅について調べてみました。

 

 まず、青梅という名前。

 緑色なのに青梅ですね。

 「白馬の節会」と書いて「あおうまのせちえ」と読ませたり、「みどりなす黒髪」と言ったり、日本人の色への表現はなかなか複雑です。

 緑と青についていうと、信号は青なのか緑なのかとか、とかいろいろありますね。

 調べてみると、古来、「青」という色は、広い範囲を指していた。とか白と黒の間の色を指していた。とか出てきました。

 白と黒の中間なら灰色か?これははっきり言ってよくわかりません。

 どうやら昔の「青」は、現在の「藍、緑、青」辺りの色を包含した概念だったそうです。

 それとは別に、「緑」という概念があって、これは今の緑に比較的近い概念であったそうです。つまり、昔の青と緑は重なり合った概念で、緑は青と呼んでも差支えがなかった、のだそうです。

 日本語に限らず、そもそも、色の表現は、時代を遡ると種類が少なくなるのが一般的なのだそうです。

緑と青の関係はそういうことだとして、では、「みどりなすくろかみ」はどういうことなのか。

 つまり、緑と黒はどういう関係なのか。というのが次の疑問です。

 この場合の「緑」には、どうやら、「たくさんある」「瑞々しい」という意味が含まれている、ことのようです。

 夏の初めの森の色なんでしょうね。

 つやつやしてたっぷりした若い女性の髪の様子なんですね。

 そう考えると、青梅の色は、日本の伝統的で典型的な「青」であり「緑」なんですね。

 

 ようやく、梅の実の話題になるかと思いきや、もう一つ。東京都下に青梅というところがあります。

 なんで青梅なのかと調べたら、将門誓いの梅伝説というものに行き当たりました。

 承平年間というと西暦930年から938年に当たるそうです。将門の乱が起こったのが、940年ですから、その数年前、将門の晩年にあたるのですが、この時期に、将門が青梅の天ヶ瀬に所在する金剛寺を訪れた際、馬の鞭に使用していた梅の枝を自ら地に挿し、「我願い成就あらば栄ふべし。しからずば枯れよかし。」と願をかけたところ、見事に梅の枝は根付き結実するが、夏を過ぎても実は青いまま熟さずに枝に残ってた。

という故事に由来するそうです。

930年代の将門は、関東各地で騒乱にまきこまれていて、戦が続いていました。それが将門の乱につながるのですね。

さて青梅ですが、青梅と言えば梅酒ですね。

 梅酒の作り方を見ていると、青梅を洗って、蔕を取って氷砂糖と梅を交互に広口瓶に入れてホワイトリカーを注ぐ、となっていて、いろいろ見ても大同小異です。

 味は、ベースなるお酒に左右されるようです。

 梅については、青梅はさっぱりして、熟すと酸味が後退し甘みが増す、完熟梅は向かない。というとくらい。梅の酒類については、南高梅が最高という評価あるくらいでした。南高梅は梅干しだけではないのです。

 ところがこの南高梅は明治時代に見出された梅の品種なので、それ以前はどうだったのか気になります。

 いろいろ調べてみると、「小城」「白加賀」「鶯宿」という品種が出てきました。

 小城は南高梅より以前に生産量の多かった品種で今は希少なものだとか。実がやや硬いので梅酒に向く、とありました。

 

 白加賀と鶯宿は、梅見に行くと見かける梅です。

 白加賀は江戸時代から品種で主に関東で栽培され、繊維が少なく崩れにくい、とありました。

 小城は平安時代からの品種だそうで、酸味が強く独特の風味で、すっきりした梅酒になるとのことでした。

 鶯宿の梅酒を味わってみたいですね。

 次は、俳句に現れた青梅です。

 ネットで検索すると膨大な数の青梅の句が出てきます。青梅に夏を感じる人がおおいのでしょうね。

 その中で目に止まったものをいくつか紹介します。

  青梅に眉あつめたる美人哉  蕪村

   

 なんとも艶っぽいですね。

  青梅に手をかけて寝る蛙かな   一茶

 アオガエルでしょうか。ユーモラスです。

 

 青梅の最も青き時の旅  細見綾子

青梅の最も青き時…一面の青葉を連想しました。

細見さんは、1907年兵庫県生まれ。

  青梅や焼酎ひらく隼人達  幸田露伴

梅酒を漬ける場面でしょうか。それとも汗ばむ気候に、一仕事終えて、青梅のなる庭の縁側で一献でしょうか。

  朝拾ふ青梅の笊ぬれにけり  室生犀星

すがすがしさを感じます。

  青梅の屋根打つ音や五月寒  永井荷風

梅雨寒でしょうか。

  青梅やこつりと落る石の上  寺田寅彦

  青梅のたゝくや雨の石燈籠  寺田寅彦

  青梅の地を真つ直ぐに打ちし音  暮石

青梅が落ちる音は、それ自体大きな音でなくとも、静寂の中では響きます。それ故に静寂を改めて感じるのですね。音に着目した句が多数ありました。

限がないのでこれくらいにします。

今月は青梅でした。

   

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