Column
1.スペイン風邪
新型コロナウィルスのために、お籠りのゴールデンウイークになってしまいました。
最近はウィルス性の流行り病が頻繁に発生していますが、SARSにしろMERSにしろエボラ出血熱にしても、日本への影響はほとんどなく、今回の新型コロナウイルスは青天の霹靂というか、まったく唐突にやってきた感染症で、日本の対応は手探りというか、どうも今一つ芯がはきりしない対応で、大丈夫かなと感じてしまう方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
流行り病というと、すぐに思い出されるもので日本でも大きな被害があったものというと、よく引き合いに出されるのがスペイン風邪です。
多くの方がご存知の言葉であると思うのですが、その内容は自分自身よくわかってないことに気づいたのでちょっとだけ調べてみました。
【経緯】
流行の初期がちょうど第一次世界大戦と重なったため、その発端が判然としないこともあって、経緯も諸説あるとのことですが、私が調べたものでは、①1918年3月に米国デトロイト等で最初の流行があり、それが5-6月に米国のヨーロッパ派兵とともに派兵先で流行した。➁1918年秋に全世界で流行。この時病原性が強まり死者が急増した。③1919年春~夏も世界的に流行し、医療体制が崩壊したこともあり、被害が拡大した。
【発端】
これもまた諸説あるようです。
①1916年末、英国軍が駐屯していたフランスのエタブルでスペイン風邪と症状が類似する致死率の高い新種の病気が流行した。➁米国では1915年と1916年にインフルエンザと肺炎による死亡率の急増が見られた。
③1917年11月に中国北部で流行した呼吸器系の病気がスペイン風邪と同一のものとみられる。
まあ、いずれも推測の域を出ないようです。結局のところよくわからないのは、今回の新型コロナウイルスも同じかもしれません。
【日本での流行】
日本の流行は、①1918年10月~1919年3月➁1919年12月~1920年3月③1920年12月~1921年3月。
ちょうど100年前、流行の季節は今のインフルエンザと同じだったのですねぇ。
【被害】
全世界で約5億人が感染し、推定死者数は1,700万人~1億人とされています。戦時中ということもあり、情報が混乱し、正確なところはわからないようです。
日本国内は比較的正確に統計がとられていたようで、三回の流行期の患者数は23,804,673人、死者数388,727人、死亡率1.63%とされています。死者数は一説によると45万人にのぼるとのことです。
【対応】
当時政府が出した、一般向けの心得には、予防法として、①病人または疑わしい者および咳をする者に近づいてはいけない。➁人が集まるところに出かけてはいけない。③マスクをせよ。の三点が挙げられているそうです。
また、流行性感冒の予防注射というものが盛んにおこなわれたそうですが、効果はなかったはずだそうです。
学校は全面休校、各種興行・集会は続々中止するにも関わらず、交通については規制がないという点は、スペイン風邪も新型コロナウィルスも変わらない、という指摘が私が資料を漁っていると、複数目につきました。
全体として、日本がとった措置は100年前と今回も大差ないのかもしれません。
【スペイン風邪で亡くなった著名人】
新型コロナウィルスでもすでに多くの著名人がお亡くなりになっています。
スペイン風邪でも著名人が命を落とされています。
そのほんの一握りをご紹介します。
外国では、ギョーム・アポリネール(仏、詩人・小説家1880-1918)、マックス・ウェーバー(独、政治学者1864-1920)、グスタフ・クリムト(墺、画家1862-1918)エゴン・シーレ(墺、画家1890-1918)等、錚々たる方が亡くなっています。
そうそう今の米大統領のおじいさんに当たるフレデリック・トランプさんも犠牲者の一人なのですね。
他方、日本では、竹田宮恒久王(皇族・軍人1882-1919)、辰野金吾(建築家、1854-1919)、島村抱月(作家1871-1918)、等がいます。