Column
今日は、最近の国の審議会などの動きからレポートします。
といっても年末も押し詰まってくると、動きは少なくなってきています。
今回は、内閣府・厚労省・法務省・国土交通省のサイトを閲覧しましたが、私が興味をもったのは国土交通省の動きです。
まず、国土審議会土地政策分科会特別部会が今年の9月から毎月1回ずつ、合計3回にわたっての審議についての中間とりまとめを行っています。
ここでの議題は、「所有者不明土地」です。
審議会の資料によると、平成28年度の地籍調査において、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は、概ね20%程度であり、探索の結果、最終的に所有者の所在が不明な土地は0.41%であるとされています。
審議会では前者を「所有者不明土地の外縁」と呼び、後者を「最狭義の所有者不明土地」と呼んでいます。
この結果、当該所有者不明土地の利用を希望する者がいた場合、探索に時間・費用を過大に要することとなる上に、ついには探索しても土地所有者を確認できない場合があることになります。
このことについて、いくつかの提言が示されています。
【その1】所有者不明土地の円滑な利用を可能にする制度
一定の土地所有者についての調査を実施するも、反対する所有者がおらず、建築物がなく現に利用されていない土地について、
①収用適格事業の用に供する場合は、審理手続きを省略して土地収用委員会ではなく都道府県知事が、権利取得・明渡しを一本化して裁定できることとし、
②収用適格でない公共事業の場合は、市町村長の意見を聞きつつ都道府県知事が公益性等を確認のし、一定期間の公告を経て上で都道府県知事の裁定手続きにより一定期間(最低5年間程度)の利用権を設定することができることとする
という提言です。
②の場合、後に所有者が現れ、その土地の明渡しを求めた場合には利用期間終了後に原状回復を行うこととされています。
【その2】
所有者不明土地の適切な管理のための措置として財産管理人の選任申立権を地方公共団体の長等に民法の特例として付与する。
長期相続登記等未了土地の解消のための措置として、登記官は、長期相続登記等未了土地(所有権の登記名義人の死亡後長期にわたり所有権の登記がされていない土地)を特定し、職権でその旨を登記に記録 ・相続人を調査し、必要な登記手続を促す制度の創設。(不動産登記法の特例)
更なる検討課題として、
①更なる土地利用の円滑化と
②土地所有の在り方
が挙げられています。
中間とりまとめも、成案に至るにはまだまだ内容の精査や前提となる諸制度の整備の検討が必要と思われます。
また、今後の課題については、土地所有の在り方まで踏み込むとすると、かなり大掛かりな検討となることが予測されますね。
もうひとつの動きは、建築基準制度にかかるものですが、長くなりましたので、次回にご報告いたします。