Column
昨日は、事業承継のセミナーに参加してまいりました。
事業承継は遺言・相続とも関わり合いの深い領域です。
どちらも如何にしたら、今の営みが円滑に次の世代に引き継げるのか、という観点のテーマですね。
中小企業庁が毎年出している「中小企業白書」2017年版によると…
そうそう、この2017年版はそもそも副題が「中小企業のライフサイクル---次世代への継承---」となっています。そのことからも事業承継の問題が今深刻だということに気づかされます。
中小企業白書2017年版を見ると以下のことがわかります。
2009年から2014年までの間に小規模企業においては、開業が54.6万社に対して廃業が約2倍の102.7万社に及んでいること。
2000年当時は、倒産が休廃業・解散を上回っていたのが、2016年では倒産約8,400件に対し、休廃業・解散が約29,500件と、休廃業・解散が倒産を大幅に上回る結果となっていること。
休廃止・解散の企業の約半数は黒字経営であったこと。
事業を自分から次の世代に引き継ぎたいと90%以上の経営者が考えているにも関わらず、後継者が決まっているのは約半数であり、約30%は後継者の候補もいないこと。
日本の経済は中小企業の下支えがあってこそ、堅実でありうることを考えると、これはかなり深刻な状況ですね。
セミナーでは、このような状況を踏まえて、
後継者候補の選定にあたっての課題と、後継者が決まった場合の先代と承継する者それぞれについての課題について具体的に説明がありました。
説明を通じて感ずることは、やはり重要な課題は引き継ぐ者と引き受ける者、候補者を探す者と候補者となりうる者の間のコミュニケーションの問題であり、相互の信頼関係構築の問題であるということが浮き彫りになっていたことです。
このコミュニケーションの問題は、端的には旧経営者と新経営者の問題として現れますが、実際は経営者を巡る家族や、社員をも包含する、コミュニケーションや信頼関係の問題なのだと思います。
またさらには、取引先を含めた信頼関係という観点もあるようです。
先般、ある若い経営者の方の経営を引き継ぐことについての体験談をお聞きする機会がありましたが、まさに先代、古参幹部社員と若社長、若手社員との相互信頼の確立に心を砕かれていることを強く感じたことがあります。
そこを乗り越えること、その前に適切な後継者を剪定することも大切ですが…が事業の継続そして社業の発展に不可欠なのですね。