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遺産相続の手続きは、遺言が残されていた場合と遺言が残されていなかった場合とで大きく異なります。
まず遺言が残されていなかった場合を考えます。
段取りとしておおまかな流れをまず把握していただき、後にそれぞれの細目を順次説明いたします。
(1) ご本人死亡後の当座の手続き
ご本人の死亡に際して、市町村役場への死亡届の提出や健康保険、公的年金等に関する手続きがまず必要になります。それぞれ死亡から一定の期間内に行う必要があるので、期限に留意する必要があります。
(2) 相続人の調査
相続人を確定させるための調査です。
① 被相続人の調査
ご本人の出生時に遡って戸籍の調査を行います。
② 相続人の調査
ご本人と、婚姻や出生等によって関係が生じた時から現在までの戸籍、住民票を収集します。
(3) 相続財産の調査
相続財産を確定させるための調査です。
① 土地・建物の調査
名寄帳や固定資産課税台帳をもとに登記簿謄本によって、ご本人名義の土地をすべて把握します。必要に応じ現場の確認も行います。
② 預貯金・株式
残高証明書を取得します。
③ その他財産
自動車、貴金属品・宝飾品、骨とう品等
④ 借入金、生前贈与等
なお、生命保険は相続財産ではありませんが、高額の場合考慮すべき場合も考えられますので、把握した方がよいでしょう。
(4) 遺産分割協議
相続人と相続財産が確定した段階で協議を行います。
たたき台を作って進める方が円滑に進む場合もありますので、どう進めたらよいのかについても考慮する必要があります。
(5) 遺産分割協議書の作成
相続財産一つ一つを誰に相続させるのかを記載し、相続人全員が記名押印します。印鑑は実印が必要です。
(6) 財産の名義変更等
遺産分割協議書作成後、不動産の相続登記、預貯金の名義書き換え等を行います。
これが、相続のおおまかな流れです。
また、相続税の申告・納付は本人の死後10か月以内ですが、遺産分割協議そのものにいつまでに協議を終えなければならないという期限があるわけではありません。
さらに、限定承認や相続放棄について行う場合、期限の定めがありますので留意する必要があります。
次回からはそれぞれについて、詳しく説明します。