Column
2020年01月15日
メモランダム
佐藤春夫という詩人に「好き友」というエッセイがあります。
佐藤春夫は1893年に今の和歌山県新宮市に生まれました。
今、佐藤春夫の詩を読む方はあまりなく、ピンとこない方が多いかもしれません。
でも、秋刀魚の歌といえばピンとくる方も多いかもしれません。
例の、「さんま苦いかしょっぱいか」という行が出てくる詩です。
といっても、ピンとくる方は年配の方ばかりかもしれませんね。
この方の「好き友」というエッセイは新宮で過ごした小学生時代の思い出のことが書かれています。
佐藤春夫は、元来友人が少なかった、それは小学校の時も同じだったと書いています。
それが、ある日、先生から各自親しい友人の名を書いて提出せよ、と言われた時の困惑。
提出後、同級生から誰を書いたか問われ、その回答に対する、その同級生の素朴な反応に友情を感じたことが記されています。
とても暖かく懐かしさを感ずる、自分史の一コマだと思います。