Column
ちょっと間があきましたが、相続でもないために準備しておくことの続きです。
相続でもめないためには、親子更には孫のコミュニケーションが大切だと書きました。
この場合、やはり親から語り掛けることが大切です。
とはいえ、「いまさら、私に何を語れというのかね。」とおっしゃられた私のお客様のようなこともあります。
つまり、家族関係はどんな場合でも、いつでも、風通しがいいとは限らないのですね。
私にも、思い当たることはあります。
高校時代私は、父親とぶつかりました。
万事、固く形式張った考えをする父親と、肌合いがあわなかったのでしょう。
家の中で言い合うこともありましたが、だんだんと会話が少なくなり、家庭内の雰囲気が気まずくなったことを覚えています。
そのような気まずさもあり、地方にあこがれたこともあって大学は地方の大学を選択しました。
親と、会うのは帰省する盆と正月くらい。
それも数日のことですから、特に踏み込んだ話しをするわけでもなく、差し障りのない話をしていれば、時間がたってしまいます。
大学を卒業して私は転勤のある会社に入りました。若いころは、地方勤務が多いので、親元を離れる期間が長くなりくました。
結果、あまり会話らしい会話をせずに、とりあえずはた目には普通に仲の良い親子として過ごすことになりました。
今はもう他界しておりませんが、父親の若いころのことなどもっと詳しく聞いておけばよかったと思います。
多分、私が一定の年齢になってから、父と向き合う機会があったら、コミュニケーションが取れただろうと思います。
さて、親の側から何を語ればいいのか。
自らを省みて心に残っていることを語ってみてはいかがでしょうか。
思いつくままに話すと、結果としていつも同じことを話してしまったりしますね。
自分の生い立ちを年表にまとめてみるのもいいかもしれません。
自分のことはもちろん、親の事や学校の事、友人のことなどを項目別に書いてみるのがいいかもしれません。
年表なので、記入するのは年代を追って書くことになりますが、思い出すのは年代順である必要はありません。思い浮かぶままに、時間を遡ったり下ったりしてください。
間違っても網羅的に、毎年、項目ごとの欄を全部埋めようとしないこと。完璧に作る意味はありませんし、面倒になって途中で放り出すことになるのが落ちです。
記憶というものはおもしろいもので、あることについて思い出すと、唐突にそれにつながるべつのことが思い出されてきます。
まったく論理的な関連はなく、思い出されるものもあります。
思い出されることの多くは、楽しいことです。
人の記憶はどうやら、当時はつらかったことや悲しかったことも、次第につらい気持ちや悲しい気持ちは摩耗してきて、たのしかった側面が残るようです。
楽しみながら思い返している中で、特に印象深いことがおることにお気づきになると思います。
そこについては、少し深堀してみるのもいいかと思います。
印象深いことについて、機会を見て、ご家族にお話しされてみてはいかがでしょうか。
子供がある成長段階に達していれば、すなわち大人になって入れば、かならず会話がなりたつものと思います。
多分どなたもそうであろうかと思うのですが、ご自分の親のことは案外ご存知ないのではないでしょうか。
特に自分が生まれる前のことはよくわかっていないのではないかと思います。
自分が生まれた後は、自分の写真に一緒に写っている父母の姿を見てわかったつもりになっているのですが、どんな仕事をしているのか、というようなことになると漠然としているのではないでしょうか。まして自分が生まれる前の両親のこと、例えば二人はどこで知り合って、結婚前どんな付き合いをしていたのか、なんてわからないですね。
そんなことから話始める必要はもちろんないのですが、まずは印象深いことを話してみてください。
そして続けることです。そのためには、繰り言のように同じ話題を繰り返さないこと。
くどくど話さないこと。
話すことが習慣になったら、次第に踏み込んだことも話してみてください。
うまく想いを伝えられると思います。
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