Column
お父さまはすでに亡くなられており、今回、お母さまが亡くなられたケースです。
お子さまは三人。上から、長男・次男・末娘の三兄弟でした。
末娘はご両親の近くに住んでおり、独身。
長男は東京で勤務し、次男はご両親の家から新幹線で一時間ほどの地方都市で勤務していました。
ご両親の介護や身の回りの世話は、主に末娘が担ってきました。
相続については、長男の発案で、
「両親の面倒を見てきた末娘が、すべての財産を相続する」
「兄二人は相続を放棄する」
という方向性が示されました。
次男もこの案に同意し、三人の間で大きな異論はありませんでした。
ここまでは、非常に円満に話が進んでいたと言えます。
ところが、事態が動いたのは、遺産分割協議書を作成し、正式に内容を確定させる前のことでした。
末娘が次男に、こんな相談をしたそうです。
自分はマンションに住んでおり、実家を引き継いでも住む予定がない。
そのため、両親の家は処分したいと考えている、と。
次男は、付き合いのある不動産業者に、
「この家は、どれくらいの価値があるのか」
と、問い合わせをしました。
不動産業者は、それを「売却の相談」と受け止めました。そして、
「長男の意思はどうか」
と、次男に確認しました。
次男は、
「長男にはまだ話していないが、了解してくれると思う。必要なら確認してもらって構わない」
と答えました。
そこで、不動産業者は長男に電話をかけ、
「ご両親の土地建物を処分する話が出ているが、それでよいか」
と尋ねました。
これを聞いた長男は、烈火のごとく怒りました。
まだ相続の内容は確定していない。
そもそも、処分するなどという話は聞いていない。
そんな話が、なぜ自分の知らないところで進んでいるのか。
結果として、相続についての話し合いは破綻しました。
ここまでが事例です。
法律的に見れば、誰が何を相続するのか、いつから誰の財産になるのか、といった整理はいくらでもできます。
しかし、この事例で起きたのは、法律の問題ではありません。
話がまとまっているように見えたからこそ、
「もう決まったこと」
「今さら言わなくてもいいこと」
という思い込みが、それぞれの立場で生まれてしまったのです。
反省点はいくつもあると思います。
誰が、どの段階で、何を共有すべきだったのか。
どこまでを「仮の話」として扱うべきだったのか。
第三者が入るタイミングは、適切だったのか。
また、もう亡くなってはいますが、親が生前にしておくべきこともあったかもしれません。
それらをどう考えるかによって、同じ事例でも見え方は変わってくるでしょう。
今回は、あえて結論を示さず、ここまでにしておきたいと思います。
ぜひ、ご自身の立場に置き換えて、考えてみてください。これには絶対の正解はありません。皆さんの考えはそれぞれに正解です。
こういうことを普段から考えておくことが、自分の相続の時に役に立ちます。
細かいところまでは書き込まれてはいませんので、わからないことは、それぞれご自分の考えで行間を埋めていただいて結構です。
次回、私なりの考えをお示ししたいと思います。
お子さまは三人。上から、長男・次男・末娘の三兄弟でした。
末娘はご両親の近くに住んでおり、独身。
長男は東京で勤務し、次男はご両親の家から新幹線で一時間ほどの地方都市で勤務していました。
ご両親の介護や身の回りの世話は、主に末娘が担ってきました。
相続については、長男の発案で、
「両親の面倒を見てきた末娘が、すべての財産を相続する」
「兄二人は相続を放棄する」
という方向性が示されました。
次男もこの案に同意し、三人の間で大きな異論はありませんでした。
ここまでは、非常に円満に話が進んでいたと言えます。
ところが、事態が動いたのは、遺産分割協議書を作成し、正式に内容を確定させる前のことでした。
末娘が次男に、こんな相談をしたそうです。
自分はマンションに住んでおり、実家を引き継いでも住む予定がない。
そのため、両親の家は処分したいと考えている、と。
次男は、付き合いのある不動産業者に、
「この家は、どれくらいの価値があるのか」
と、問い合わせをしました。
不動産業者は、それを「売却の相談」と受け止めました。そして、
「長男の意思はどうか」
と、次男に確認しました。
次男は、
「長男にはまだ話していないが、了解してくれると思う。必要なら確認してもらって構わない」
と答えました。
そこで、不動産業者は長男に電話をかけ、
「ご両親の土地建物を処分する話が出ているが、それでよいか」
と尋ねました。
これを聞いた長男は、烈火のごとく怒りました。
まだ相続の内容は確定していない。
そもそも、処分するなどという話は聞いていない。
そんな話が、なぜ自分の知らないところで進んでいるのか。
結果として、相続についての話し合いは破綻しました。
ここまでが事例です。
法律的に見れば、誰が何を相続するのか、いつから誰の財産になるのか、といった整理はいくらでもできます。
しかし、この事例で起きたのは、法律の問題ではありません。
話がまとまっているように見えたからこそ、
「もう決まったこと」
「今さら言わなくてもいいこと」
という思い込みが、それぞれの立場で生まれてしまったのです。
反省点はいくつもあると思います。
誰が、どの段階で、何を共有すべきだったのか。
どこまでを「仮の話」として扱うべきだったのか。
第三者が入るタイミングは、適切だったのか。
また、もう亡くなってはいますが、親が生前にしておくべきこともあったかもしれません。
それらをどう考えるかによって、同じ事例でも見え方は変わってくるでしょう。
今回は、あえて結論を示さず、ここまでにしておきたいと思います。
ぜひ、ご自身の立場に置き換えて、考えてみてください。これには絶対の正解はありません。皆さんの考えはそれぞれに正解です。
こういうことを普段から考えておくことが、自分の相続の時に役に立ちます。
細かいところまでは書き込まれてはいませんので、わからないことは、それぞれご自分の考えで行間を埋めていただいて結構です。
次回、私なりの考えをお示ししたいと思います。
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